憂鬱と官能を教えた学校



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一緒に音が欲しい

ジャズを中心とした音楽の構造についての本である。バークリー音楽院で行われている理論化/記号化を中心に解説してある。

ドミナント?トニックぐらいしか知らない私にとっては、面白そうだった。面白そうだったというのは、匂いだけかいで食べられなかった気分。やっぱり、音楽の話は音がないとどうにもならない。コーダルの方はなんとか想像がついたけど、モーダルの方はよく分からなかった。例に挙がっている曲も、ジャズばかりで(ま、当たり前か)知らない曲ばかりと言うのはつらかった。ポップスはこの辺が堕落した(楽理的にですよ)ものだから、ジャズファンでなくても分かると面白いと思うんだけどなあ。

しかも、本書は講義をテープ起こししたもので、読み物としてはかなり冗長だ。これが、実際に音であれば、非常に良かっただろうにと思う。今や、iTunes ででも配信すれば不可能でないので、いよいよそう思う。音楽も30秒あれば最低の紹介は出来るだろう。それなら、iTunes のお試しと同じ長さで、著作権の方も何とかなるのではないだろうか。

かの有名なバークリー音楽院で何を教えてるか、なぜ、ジャズのインプロビゼーションが可能であるか、なんてことがある程度分かったのは収穫だが、読んでてなんとなく欲求不満がたまってくる本だった。
曲づくりへの欲望をかき立てられる。

今なお世界のポップ・ミュージックを席巻しているらしい、
バークリー音楽院の音楽理論「バークリー・メソッド」を包括的に解説している。

広汎にして実践的な知性がつむぎ出す言葉は、
著者が望むようにチャーミングでさえある。
それは、楽器を手にしなくなって久しい私のような人間が、
曲づくりへの欲望をかき立てられるような魅力である。

アメリカ音楽が前世紀の中頃にアフリカのリズムと結びつくことで、
やっと世界を「リズム音痴」と蔑めるようになったことを知る。
きわめてクール。
なぜ音楽に感動するのかがわかる

実際の菊地さんの音楽の授業を受けたことがありますが、非常に明快で、時折挟まれる心地よい脱線とともに、音楽の理論的な仕組みが身についていきます。本書も実際の授業の雰囲気をそのままに、進んでいきます。音楽を聴くだけでなく、「作り手」になりたい人は是非読んで欲しい本です。また、途中で気がついたのですが、4つ、5つぐらいの和音が出せるキーボードを手元において、本書を読むと理解が早まります。
門外漢は。

Amazonでなく市井の書店で立ち読みをしていたら手元にはなかったでしょう。鍵盤、音源その他、憚りなき門外漢が、相対的価値を措いてその講義録を好もしく辿るのは、巧みな和語を操る礼儀正しい好き者(ら)によりエレガントであること、およびそこにあるニッチな興趣、世界観。

音楽の素養ゆえの同胞的感覚からかと想像される前出レビューのお二方の「音楽への愛情」という言及は、だからあまりぴんときませんが、著者の、自分の知識をどう伝えるかというより、相対する者への尊厳を損なうことなくいかにそれが伝わり得るかという態勢のようなもの、次世代への期待もしくは愛なるものが音楽をすなる人間自体に向かっていることを感じます。いまさらといえば、東大講義録の前に読めばよかったなと。
絶賛

カタカナ語と難解語多くスノッブさは「東京大学のアルバート・アイラー」と変わらず。著者の自意識がなせる技かどうかはともかく、内容は素晴らしい。

楽理の一般的な解説書が少ない中で音楽理論を本音で語り類を見ない良品。バークリーメソッドに止まらず楽典全般に亘る解説に好感。著者の広範囲な知識と音楽に対する愛情を感じる。

音楽を習ったのは義務教育までの私にも、それだけの知識で十分理解できる内容である。



河出書房新社
東京大学のアルバート・アイラー―東大ジャズ講義録・キーワード編
200CD 菊地成孔セレクション―ロックとフォークのない20世紀 (学研200音楽書シリーズ)
スペインの宇宙食
歌舞伎町のミッドナイト・フットボール―世界の9年間と、新宿コマ劇場裏の6日間
M/D マイルス・デューイ・デイヴィスIII世研究







         
         
         
         

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